昇降機の定期報告、その他手続きにおいて、一般社団法人東北ブロック昇降機検査協議会を経由して特定行政庁の指定機関に行われることを前提に定めている。

1.1 一般社団法人東北ブロック昇降機定期検査報告事務基準

 この基準は、建築基準法第12条第3項の規定に基づく昇降機定期検査報告制度の東北地区20特定行政庁が定める「施行細則」によるもののほか、定期報告に必要な事項について定め、制度の円滑な運営を図るものとする。

(基本方針)
第1 定期検査は、建築物に設置された昇降機及び工作物である昇降機に性能の維持を図り、安全性を確保するために昇降機に関する専門的な知識・技術に精通した検査資格者が行う。
二 安全について疑問・危惧される場合は、精査・改善を行い安全な状態を維持できるよう指導する。
三 定期検査を行う国土交通大臣により資格者証の交付を受けた者等。
  1. 昇降機等検査員
    ※平成28年6月1日 資格者制度改正により旧資格者であっても、資格者証の交付を受けていない場合は検査を行うことはできない
  2. 一級建築士若しくは二級建築士、ただし大臣指定講習聴講者が望ましい

(定期報告の対象)
第2 建築物に設ける(特殊な構造又は使用形態のもので国土交通大臣が定めた構造を用いるものを含む)エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機及び建築基準法施行令第138条第2項に指定する昇降機とする。
  1. 定期報告の対象となる昇降機
    建築基準法第12条第3項の規定に基づく「定期報告」の対象となる昇降機は、建築基準法施行令第16条及び特定行政庁の「施行細則」で指定されている昇降機である。
    ⑴建築物に設ける昇降機
    ①エレベーター(段差解消機・いす式階段昇降機含む)
    ※ホームエレベーターは対象外(一戸建て住宅・併用住宅の専用住宅・長屋や共同住宅の一住戸内に設置されたもの。尚 住宅展示場、一般建物のショールームに設置されたものは、報告の対象となるため、注意を要する。)
    ②エスカレーター(動く歩道を含む)
    ③小荷物専用昇降機(フロアタイプ)
    ※小荷物専用昇降機で、昇降路の全ての出し入れ口下端が当該出し入れ口が設けられている室の床面よりも50センチメートル以上高いもの、は除く(テーブルタイプは除く)。
    ※特定行政庁により「細則」で指定されているものはテーブルタイプも対象となるので注意を要する。
    「指定(対象)」:青森県・青森市・弘前市・八戸市
    ⑵工作物としての昇降機
    ①観光用の乗用エレベーター(一般交通の用に供する物を除く)
    ②観光用の乗用エスカレーター(一般交通の用に供する物を除く)
  2. 定期報告の対象から除かれる昇降機
    ⑴昇降機のうち、次の建築物に設けられたものは定期報告から除かれる。
    ①国、都道府県の建築物に設けられたもの
    ②建築主事を置く市町村の建物に設けられたもの
    ※①②共に建築基準法第12条第2項で定期点検のみとされ報告不要。
    ③建築主事を置かない市町村の建物に設けられたもので、特定行政庁「施行細則」により建築基準法第12条の検査、報告を不要としているもの
    ④籠が住戸内のみを昇降するもの
    ※所有が民間に移行したもの及び公団・公社等のものは、定期報告対象となるので注意を要する。尚 疑問等がある場合は所管の特定行政庁の見解を確認することも必要となる。
    ⑵重複検査を避ける取り扱い
    労働安全衛生法施行令第1条第9号に規定するエレベーター(労働基準法別表第1号から第5号に掲げる工場等に設置されているもののうち一般公衆の用に供されていないもの。)のうち同令第12条第1項第6号に該当するもの(積載荷重が1トン以上のもの。)を除く。
    ⑶機種による対象外となるもの…自転車搬送装置

(定期検査報告)
第3 定期検査は、特定行政庁において定める期間に行うのが原則であるが、東北地域の特定行政庁毎に多少の違いがあるため、運用上定期報告の前三ヶ月以内とする。尚 報告受付日に、検査日から三ヶ月を経過したものは無効となり、再検査をしなければならない。
二 定期検査は、「JIS A 4302 昇降機の検査標準」及び別に定める基準等により行う。
三 定期報告の時期は、特定行政庁において定めた時期に行うのが原則であるが、東北地域の特定行政庁毎に多少の違いがあるため、運用上毎年4月1日から翌年3月31日までの間において、完了検査済証交付の日の属する月(設置月)を基準月(提出期限月)とし、基準月、翌月、翌々月までに報告するものとし、前年の報告を行った日の翌日から1年以内を原則とする。
  1. 「定期検査報告済証」の有効期間は、定期報告した翌年の定期報告の基準月(提出期限月)までである。
  2. 定期検査の期間及び定期報告の時期については、東北地区の特定行政庁「施行細則」によって異なり、一定の時期(歴月)あるいは完了検査済証交付の日の属する月(設置月)と定められているが、定期検査実施台数の累増に伴い、報告の時期は設置月を基準にその翌月、翌々月までとして平準化をはかり、検査の期間は報告の日前三ヶ月以内と定めて運用してきている。したがって特定行政庁「施行細則」とは一致しない場合もあるが、基本的には本基準により運用する。
  3. 完了検査済証(工事完了証)の交付を受けた翌年(第1回目)の定期報告は、特定行政庁の指導により「報告を要しない」場合があるので、下記の特定行政庁所管のものはそれに従うこと。この場合、第1回目の定期報告は、完了検査済証交付の月から24ヶ月目となる。
    ⑴特定行政庁所管
    岩手県・宮城県・仙台市・塩竈市・石巻市・大崎市・山形市・福島県・福島市
    ⑵初回免除(第1回目免除)の考え方
    制度発足当初、特定行政庁細則で定められている定期報告の時期が、歴月指定のものに対して、完了から6ヶ月程度で初回検査報告が発生することから、それを避ける主旨から、適用解釈され、現在に至っているものである。

(定期報告書等)
第4 報告事項は建築基準法施行規則第6条第2項の規定に基づき、検査をすべき項目(検査項目)が定められている。併せて、検査方法及び結果の判定も定められている。
二 建築基準法施行規則第6条第3項に基づき、定期検査報告概要書・定期検査報告書・検査結果表を添えて報告する。尚 検査結果表には「エレベーターの主索又は鎖」及び「ブレーキパッド」の状態を撮影した写真添付が義務付けられている。
三 検査結果の判定により「要是正」と判定された場合は、検査結果表に要是正箇所の状態を撮影した写真を添付し、「昇降機整備計画書」若しくは「昇降機緊急修理内訳書」の発行を要する。
四 昇降機の検査項目、検査事項、及び結果の判定基準が6機種に定められた。 6機種とは
  • かごを主索又は鎖で吊るエレベーター
  • 油圧エレベーター
  • 段差解消機
  • いす式階段昇降機
  • エスカレーター
  • 小荷物専用昇降機
  ※   平成20年3月10日国土交通省告示第283号
※改正 平成20年3月31日国土交通省告示第415号
※改正 平成21年9月28日国土交通省告示第1024号
※改正 平成25年4月1日国土交通省告示第1449号
五 定期検査報告概要書・定期検査報告書・検査結果表は、「昇降機定期検査業務基準書
2017年版」(日本建築設備・昇降機センター発行)を基準として作成すること。
六 定期検査報告書等の発行部数は、特定行政庁への報告用として正1部とする。 尚 検査会社、所有者の「控」「写」については、当協議会の受付印を押印して、返却するものとする。

1.2 定期検査報告済証の発行基準

 昇降機定期検査報告書が当協議会の所定の経路により提出(報告)され、検査結果表の各検査項目の判定結果が「指摘なし」「要重点点検」のもので、特定行政庁に提出(受理)したものに対して「定期検査報告済証」を発行する。ただし、検査項目の判定結果が「要是正」のものに対しては発行しない。尚 「要是正」の改善が行われ「昇降機整備完了届」により完了が確認され、特定行政庁に報告したものに対しては発行する。
二 発行した「定期検査報告済証」の有効期限は、定期報告をした翌年の定期報告の基準月(提出期限月)とする。

1.3 昇降機基本台帳の整備基準

 定期検査指定物件について、昇降機等検査員等の定期検査・報告の態勢を万全にし、定期報告制度の運営を円滑に行うため本基準を定める。

(登録)
第1 毎年度の3月、10月に半期分の新規物件について「昇降機設置一覧表」の提供を各メーカーに依頼し、既存の台帳に新規登録したものを加える。尚 未登録であったものは、第1回目の定期報告があった時に、その内容(確認済証交付年月日及び確認番号並びに検査済証交付年月日及び検査番号等)を確認して登録する。特定行政庁から定期報告対象昇降機について提示を受けた場合は、それに基づき台帳の整備を行う。
二 登録したものに協議会の「登録番号」を決められた手順にしたがって定め、台帳管理精度を確保する。

(名義異動・状態変動)
第2 名義・名称等の名義変更及び所在地住居表示の変更等の異動届及び廃止・休止・再使用等の状態変動の届により台帳の登録事項を整備し、その精度の確保に努め、指定通知・再通知等の資料に供する。
二 名義・名称等の変更及び所在地住居表示の変更等の異動届は、「昇降機(所有者等、建物名称等)異動届」の共通様式により行う。
三 廃止・休止・再使用等の状態変動の届は、「昇降機(廃止・休止・再使用)届」の共通様式により行う。

1.4 検査協議会業務基準

 昇降機のデータの整理及び保管(定期検査報告基本台帳の整備・保管)登録は、昇降機基本台帳の整備基準に従い行う。

(通知案内・再通知)
第1 基本台帳に基づき、指定通知案内(基準月の2ヶ月前)の発行支援を行う。 特定行政庁から直接、通知案内・再通知が発行されている場合もある。

(未報告の管理)
第2 定期報告期間を2ヶ月経過したものについては定期報告の予定を検査会社から聴取し、その結果に基づき再通知(催告)発行支援及び発行要請を行う。 特定行政庁から直接、再通知(催告)を発行されている場合もある。

(報告書等の受付)
第3 提出(報告)された報告書等について検査時期・報告時期・内容等を照査し、その結果に基づいて備考欄に受付印を押印する。次期の検査期間に入った定期検査報告書は受付けることはできない。尚 疑義の生じたものについては、照会を行い必要があれば是正を要請する。このときの受付印は是正後の押印とする。
二 検査日・検査者・報告日・有効期限等について定期検査報告基本台帳(データベース)に時系列内容で記録(登録)する。

(定期検査報告済証の作成)
第4 定期検査報告済証発行基準に基づき「定期検査報告済証」を発行する。発行の基準は、検査判定の結果が「指摘なし」「要重点点検」のものとし、特定行政庁に提出した昇降機に対し受付印を押印して発行する。定期検査報告書が受理されなかったものについては無効とする。
二 検査判定の結果が「要是正」のものは、「昇降機整備完了届」により特定行政庁に改善完了の報告を行ったものについて発行する。

(定期検査報告書等の特定行政庁への送付)
第5 確認、処理を完了した定期検査報告書等は毎月末に特定行政庁へ送付する。ただし、仙台市・塩竈市・石巻市所管のものは、一般財団法人宮城県建築住宅センターへ送付する。

(定期検査報告済証の送付)
第6 原則として、定期検査報告書等の特定行政庁への提出が完了したものについて検査会社(昇降機等検査員)へ送付する。

(諸届等の受付)
第7 提出された廃止・休止・再使用届、名義変更及び名称変更届、整備計画書、緊急修理内訳書、整備完了届等について内容確認の上、受付印を押印し、台帳登録(データベースの更新)を行い特定行政庁へ提出する。ただし、仙台市・塩竈市・石巻市については一般財団法人宮城県建築住宅センターへ提出するものとする。

(特定行政庁への報告)
第8 定期検査報告準備のため、毎年2月、8月に次半期分の定期検査予定管理表を特 定行政庁へ送付する。
二 4月下旬までに、前年度の定期検査報告書提出台数及び検査判定結果の集計表を作成、報告する。
三 前年度未報告のものについて、8月を目途に昇降機ごとに未報告理由等を調査した「未報告調査表」を作成、報告する。
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